産業技術総合研究所

化学物質の爆発安全情報データベース

安全科学研究部門  爆発安全研究グループ

1 . 1  熱分析で何がわかるのか?

物質が状態変化を起こす時,例えば1式に示すように固体から液体へ変化する時、あるいは反応する時(2式)には熱の出入りが発生する。表1には物理的あるいは化学的要因よって引き起こされる状態変化をまとめた。通常、物理的変化は吸熱になることが多いが、結晶転移の中には発熱となるものもある。化学的な反応については、反応前物質と反応後生成物の生成エンタルピーの差によって吸熱、発熱となる場合がある。熱分析法では、少量の試料(mg単位)から、これらの変化が起こる際の温度,熱の出入り,熱量などの情報を得ることができる。 特に取り扱いに注意を要する熱的に不安定な物質の熱的特性を安全かつ簡便に知るに有効な手段とされる。熱分析には多くの種類があり、熱重量測定(thermogravimetry; TG), 示差熱分析(differential thermal analysis; DTA)、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry; DSC)、発生気体分析(evolved gas analysis)などがあげられるが、いずれも温度を一定に変化させた時、その物質の物理的性質、重量、温度、熱量ならびに発生ガス量、を温度の関数として測定するものである。

ここでは、DTA、DSCについてさらに説明する。

Table1 種々の変化での熱の出入り
現象 吸熱 発熱 現象 吸熱 発熱
物理的原因 化学的原因
 結晶転移  酸化 
 融解  還元
 気化  酸化還元
 昇華  固相反応
 吸着  分解
 脱着  化学吸着

  A (solid) ---> A (liquid) + Q   (1)

  A + B -----> C + D + Q       (2)


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